江戸時代の初め、仏像をつくりながら諸国を旅した僧侶、円空。彼の仏像は「円空仏」と呼ばれ、今も高い人気を誇ります。志摩地方を訪れた円空は大般若経を修理し、見返し部分に釈迦説法図を描いています。これらは数少ない円空の絵画作品で、最初は仏像を丁寧に描いていますが、やがて簡略で奔放な絵に変わっていきます。この時期、絵画の作風に合わせるように、仏像も変化することが指摘されています。円空仏について考える時、志摩地方をはじめ三重の地は意外に重要な場所です。三重の円空について、志摩地方の作例を中心に紹介します。